休むことは悪なのか? 皆勤賞廃止の広がり
1日も休まず出席した子どもに与えられる“皆勤賞”。
「自己管理ができている」「健康」「まじめ」などの印象を与えることから、“皆勤賞”を贈られることに、子ども自身や親が誇らしく感じていることも多いです。
学校だけでなく“皆勤手当”を出している企業もあるほど、日本人の多くは「休まないこと」へ重きを置いて過ごしてきました。
しかし昨今、“皆勤賞”をやめる学校や園が出てきています。
“皆勤賞”や“皆勤手当”の是非についてどのような考えがあるのでしょうか。
■皆勤賞廃止の広がり
皆勤賞は、本来継続して出席・出勤した努力を賞する制度です。
体を健康に保ち、予定を調整するなどの能力は立派なもので、しっかりと評価してしかるべきものといえる、という意見もあります。
対して、多様化する時代の中、「無理をしてまで価値のある賞」ではないというイメージがこの十数年で増えており、それが昨今のコロナ禍でより強まったと感じます。
仮に、体調が悪くても皆勤賞や皆勤手当を目的に無理して出席・出勤した場合、体調がさらに悪化したり、周囲の人へうつしてしまうリスクが高くなってしまいます。
また、体調が優れない中で学業や仕事を行ったとしても非効率的なため、まずは快復に専念すべきという意見も多いです。
他にも、家庭の事情や持病・いじめなど、自分の意思に反して欠席する場合もあります。
そんな状況でも「休んでしまった」と罪悪感を感じる人は少なくないようです。
「休むこと=悪ではないこと」「必要に応じて休むことに罪悪感を感じないこと」を子どものうちから教えるべきなのかもしれません。
■皆勤手当は必要なのか
皆さんの職場でも、休まずに仕事に来るのが当たり前であって、滅多なことでは休まない。そのような人がほとんどではないでしょうか。
となると、ほぼ全員が皆勤手当を支給する対象者になってしまいます。
出勤に対するインセンティブとして使われるはずの手当ですが、所定の出勤日に出勤するのが当たり前になっている職場では、皆勤手当は有効なインセンティブを与えることができていません。
手当の金額は1,000円~10,000円ほどで企業によって違いますが、生活に支障をきたすほどの額ではないことがほとんどです。
しかし、「当たり前に貰えているお金が貰えない」となると、「減給になってしまった」という意識が強くなり、多少の体調不良でも無理に出勤してしまう要因になるのです。
とは言え、ただ単に皆勤手当を無くしてしまっては就業規則の不利益変更(※)となってしまう可能性もあるため、代わりに既存の手当の増額や、住宅手当など新たな手当を追加するなど補填をすべきだと考えます。
(※「不利益変更」とは、会社が一方的に、従業員にとって不利益になる労働条件などの変更をすることを言います。)
■「ただ行くこと」を目的としない為に
幼い頃から「休まないことは偉い」という教育を受けている人が多いため、社会人になってもよほどのことがない限り休まず、労働者の権利であるはずの有給休暇すら私用で取れない風土ができてしまっている企業も多いです。
尚、昨今では働き方改革の一貫として1年で5日間の有給取得が義務付けられたこともあり、有給取得に対するハードルは下がってきているように感じます。
また、ある幼稚園では、新型コロナの影響もあり、今年の春に皆勤賞を廃止しました。
その理由は、様々な環境の中でやむを得ず休むことになった園児が、通園できなかったことに負い目を感じたり残念な思いをすることを防ぐためです。
しかし、「皆勤賞を廃止してしまうと他に誇れる要素がなくなる」と考える子どもや保護者もいるため、代わりとなる賞や褒める機会を増やす方針であると、園長先生は言っていました。
「休まないこと」「ただ行くこと」を目的とせず、出席・出勤してからの姿勢や行動に対して評価することで、モチベーション維持にも繋がるのではないでしょうか。
決められた日に通学・通勤することは基本的なことです。
しかし自身の体調面や事情に合わせて優先順位をつけて休むことも必要ではないでしょうか。
もちろん”皆勤賞・皆勤手当の廃止”については賛否両論あるかと思いますが、「休まないことの大事さ」ではなく、「様々な状況下での自己判断の仕方」を教える方が、適切な教育なのではないかと私は考えます。
教育も風習も、時代に合わせた変化が必要なのです。
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