フレックスタイム制って、なに?
「うちの会社はフレックスだから~」
「A社は働き方改革の一貫としてフレックスタイム制を導入し~」等、
”フレックス”という単語を近年よく耳にするようになりました。
しかし、「なんとなく知っているけれど、改めて聞かれると詳細は分からない…」という方も多いのではないでしょうか?
もしかしたら現職の会社で導入されるかもしれませんし、転職先を探す際のポイントにもなり得ます。
そこで、働く上で知っておくべきフレックスタイム制の仕組みと、メリット・デメリットをご紹介します。
■フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。
日本では労働時間や週休日数があらかじめ決められている会社が多いため、社員の判断だけで労働時間を決めることは難しいですが、フレックスタイム制では個人の裁量で始業時刻と終業時刻を決めることが許されています。
※企業はフレックスタイム制導入時に労使協定で制度の基本的枠組みを定めており、就業規則等に詳細を記載する必要があります。
尚、フレックスタイム制は「フレキシブルタイム」と「コアタイム」に分かれて設定されていることが多いため、「コアタイム」がある場合は”全く何時に出社・退社しても良い”という訳ではありませんのでご注意ください。
・フレキシブルタイム
フレキシブルタイムとは、 その時間帯の中であれば、いつ出社、退社してもよい時間帯 のことを言います。
・コアタイム
コアタイムとは、 必ず働かなければいけない時間帯のことを言います。
※コアタイムの設定は必須ではありません。すべての時間をフレキシブルタイムにすることも可能です。
■残業代は出るの?
”フレックスタイム制では残業代が発生しない”と勘違いされることがありますが、それは間違いです。
実労働時間が一定の労働時間を超えれば、その分の残業代が支払われます。
残業代が出るのは、定めた期間(清算期間)における総所定労働時間よりも、実際に働いた時間の方が長い場合です。
(例)
1ヵ月間(20日間)の清算期間において、総所定労働時間160時間と決められている場合
1か月で200時間働いたとき、200時間-160時間=40時間 が残業時間となります。
~総労働時間より働いた時間の方が短い場合~
フレックスタイム制の下で働く場合、自分の働いた時間が決められた総労働時間より短くなる場合も注意しないといけません。
万が一、実際に働いた時間が総労働時間より短くなった場合には、不足分の給料がカットされてしまいます。
尚、足りなかった時間分を、次の週や月に繰り越して働かせることも可能です(精算期間内に限る)。
逆に、残業代があるからといって、残業代分を翌月タダ働きさせることは違法です。
■精算期間の延長
2019年に労働基準法が改正され、フレックスタイム制における清算期間の上限が1か月以内から3か月以内に延長となりました。
労使協定で定めた3か月間の中で労働時間の調整が可能となるため、仮に子育て中の労働者が8月の労働時間を短くした場合、夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなるなどのメリットがあります 。
また、時間外労働の清算は、月ごとおよび清算期間内で行います。
(例)
清算期間3ヶ月(7月~9月)、労使協定で定めた1ヶ月の総労働時間160時間の場合
7月の実労働時間が188時間、8月は132時間、9月が160時間だったとき、3ヶ月の実労働時間(480時間)を平均すると1ヶ月160時間になるため、超過勤務も不足時間もなかったことになります。
この場合、割増賃金の支払いも不要です。
■フレックスタイム制のメリット・デメリット
<メリット>
・働き方の自由度が高い
出退社時間が定まっていないため、自身や家庭の都合に合わせた自由な勤務が可能になります。
平日にしか行けない役所や病院へ朝行ってから出勤したり、夕方に退社して趣味のイベントへ参加したり、仕事へ影響を出さずにプライベートな予定を組むことができます。
また、子育てや家族の介護が必要になった場合でも、退職することなく働き続けられる可能性も高まります。
・生産性の向上
労働時間を効率的に配分できるため、労働生産性の向上が期待できます。
たとえば、満員電車を避けて時間をずらして出社し、疲労のない状態で業務をスタートさせることも可能ですし、自分が集中できる時間を決めて仕事をするなど、効率の良い働き方ができるため結果的に生産性を向上することに繋がります。
・無駄な残業が減る
繁忙期に集中して労働時間を確保したり、忙しくない時期には労働時間を少なめにしてリラックスするなど、自主的に仕事のメリハリを付けられるため、全体として残業や休日出勤を減らす効果も期待できます。
会社にとっては人件費の削減につながりますし、従業員にとってはワークライフバランスを確保し、プライベートを含めて人生をより充実させられるようになります。
<デメリット>
・社内外のスケジュールが合わせづらい
自由度が高いことが魅力である一方で、働く時間が社員ごとにバラバラになることも想定しなければなりません。
会議や打ち合わせの時間、あるいは外部の取引先との協業や連携が必要な事業では、スケジュールが合わせづらく、進行させにくい点が挙げられます。
フレックスタイム制の従業員が確実に出社している時間帯はコアタイムに限られるので、面会の必要がある業務ではスケジュール調整に制約が生じるのです。
そのため、窓口業務など顧客との接触が必要な部署は一般的にフレックスタイム制には適さないといわれています。
・自己管理不足による効率悪化
自己管理が苦手で時間にルーズな傾向がある従業員にフレックスタイム制を適用すると、仕事に対する意識が削がれ、むしろ業務効率が悪化するおそれがあります。
「報・連・相」不足に陥らないように、会社や部署単位での意思伝達・結果確認方法をきちんとルール化しておく必要があるでしょう。
フレックスタイム制が導入されると、労働者は仕事と生活のバランスを図りながら効率的に働くことができるため、労働者にとって良い印象が強いですが、その分自己管理能力が問われます。
「自由」には必ず「責任」がついてくることを忘れないようにしましょう。
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