2021年7月22日

ハラスメント変異株、増殖中。

ハラスメント変異株、増殖中。

『セクシュアルハラスメント』という言葉が流行語大賞を受賞したのが、平成元年。

もう30年以上も前ですが、その頃から『ハラスメント』という言葉・概念が、日本社会に浸透し始めました。

最近でも、黒と黄色の縞模様のちゃんちゃんこを着た妖怪の少年が主人公のアニメの題材に取り上げられたり、BSドラマの題材になったりと、相変わらず世間のハラスメントへの注目度は高い状態が続いています。

一昔前までハラスメントといえば、『セクハラ』『パワハラ』くらいのものでした。

ところが、近年のハラスメントはそこから派生した変異株が数多く発生していて、より複雑化していること、皆さんはご存じですか?

 

 

<日常に潜むハラスメントたち>

 

下の会話は、ある会社での新入社員と上司の面談の様子です。

 

🧓🏻: Aさんがうちに入社してもう3ヶ月か。どうだ、仕事には慣れたか?

👩🏻: はい、先輩方に丁寧に指導していただいているので、だいぶ慣れてきました。

🧓🏻: それはよかった。仕事は楽しいだろう?

👩🏻: まだ日々の業務に精一杯で、楽しいかどうかは正直分かりません。

🧓🏻: 仕事は楽しんでやらないと続かないぞ。楽しくなければやりがいがないじゃないか。

👩🏻: …はい。

🧓🏻: ところで、君は電話を取るのが遅いな。今日も私が何度か取ったぞ。

👩🏻: …電話はまだ苦手で。

🧓🏻: 早く慣れてくれよ。電話対応は新人の仕事なんだからな。

👩🏻: …。

🧓🏻: そうやって黙り込むのも君のよくないところだな。女性なんだからもっとにこやかにしていないと。そんなんだから彼氏ができないんだぞ。彼氏いない歴何年になるんだ?

👩🏻: …忘れました。

🧓🏻: 君はもっと女性らしくしなきゃいけないな。ちゃんと化粧してスカート履いて、日頃からキレイにしていなさい。

👩🏻: …それは仕事と関係ないですよね。

🧓🏻: 一緒に働く社員が気持ちよく働けるようにに気を配るのも、社会人として当然のことだろう。

👩🏻: この会社は個人の外見が仕事の成果として評価されるんですか?

🧓🏻: そうは言っていないじゃないか。いちいち細かいな、A型なのか?

👩🏻: 血液型も評価基準になるんですか?

🧓🏻: 全く、最近の若い世代はああ言えばこう言う。電話応対もろくにできない新人が上司に意見するのか?

👩🏻: 新人ですけど課長より若いのでPC作業は得意ですよ。課長、まだPCメールに画像添付できないんですよね?

🧓🏻: そのことは今関係ないだろう。

👩🏻: 何回教えればできるようになるんですか? いまどき小学生でもできるのに。

🧓🏻: …もういい。今日の面談は終わりにする。

 

すごいですね。

パワハラ、セクハラ、モラハラ…ハラスメントの宝石箱💎ですね。

 

 

<ハラスメント変異株のご紹介>

 

先ほどの会話の中には、パワハラ・セクハラなどの代表的なハラスメント以外にも、実はこんな変異株が潜んでいました。

 

エンジョイハラスメント(エンハラ)
<仕事の楽しさを強要する言動>
「仕事は楽しんでやらないと続かないぞ。楽しくなければやりがいがないじゃないか」
楽しい=やりがいと思わない人もいますよ。価値観は人それぞれ。

 

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
<性に関する固定観念や差別意識にもとづく言動>
「君はもっと女性らしくしなきゃいけないな。ちゃんと化粧してスカート履いて、日頃からキレイにしていなさい」
女性だから何?化粧してなくてもスカート履いてなくても、私は私。

 

TELハラスメント(テルハラ)
<年齢・社歴や所属部署・肩書などにより電話対応を押しつける行為>
「電話対応は新人の仕事なんだからな」
新人じゃなくても電話には出てください。

 

ラブハラスメント(ラブハラ)
<恋愛に関する話題を強要し、精神的苦痛・不快感を与えること>
「そんなんだから彼氏ができないんだぞ。彼氏いない歴何年になるんだ?」
それ聞いてどうするの?あなたに言う必要なんてありません。

 

ブラッドタイプハラスメント(ブラハラ)
<血液型の話題で、精神的苦痛・不快感を与えること>
「いちいち細かいな、A型なのか?」
細かいからってA型って決めつけるのはナンセンス。他の血液型でも細かい人はたくさんいます。

 

エイジハラスメント(エイハラ)
<年齢や世代が違うことを理由とした差別的な言動・嫌がらせ>
「全く、最近の若い世代はああ言えばこう言う」
世代で一括りにしないでください。その世代全員が全く同じ人間なわけないでしょう。

 

テクノロジーハラスメント(テクハラ)
<ITスキルの高い人がITスキルの低い人に対して行う嫌がらせ>
「何回教えればできるようになるんですか? いまどき小学生でもできるのに」
誰にでも苦手はあるもの。言い方には注意しましょうね。

 

この中でも、『TELハラスメント』はつい最近になってハラスメントとして取り上げられたものです。

テクノロジーハラスメント』なんて、部下から先輩・上司に対して結構やりがちなハラスメントの代表格ですね。

 

 

<ハラスメントにご用心!>

『ハラスメント』は、自分または相手がその言動を不快に感じた瞬間に発生します。

いつ自分が被害者になるか分かりませんし、気づかないうちに加害者になっていることも…十分考えられますよね。
しかも、同じ言動でも、受け取る相手によってハラスメント認定される・されないが分かれるところも…非常に厄介です。

 

最近では、ちょっとでも嫌なことがあったらすぐにハラスメント認定する『ハラスメント・ハラスメント』というハラスメントまで登場しています。

職場内では、自分のキャラと相手のキャラを見極めて、お互いが不快にならないよう、適切なコミュニケーションを心がけたいものですね。

 

 

もし、あなたが今、ハラスメントの被害に遭っているのなら。

それが本当に嫌なことなら、あなただけが我慢する必要はどこにもありません。

 

嫌なことから逃れるために環境を変えたいのであれば、社内での異動を申し出ることも有効でしょう。

会社そのものを変えたいのであれば、もちろん転職も有効な手段の一つですね。

 

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